こぜに vs MUGEN

こぜにのMUGEN関係のブログ きっとずっとグダグダ

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パチモン怪獣大熱戦:最終話「パチモン怪獣大熱戦」

トーボーズ、ラコ、ダイゴラス、サイハタリ、キュラドロス、ドイラー、ヒムラーら七体のパチモンは、
主催者Ms.H改め水素獣エッチの足にしがみついて、彼女?の言う「天国」へと向かっていた。


「・・・くそっ、酸素が薄くなって・・・」
トーボーズが言いかける。

「そーよ。この領域は水素で満たされているのだから」
水素獣が言うと、天にあいた穴を通り、急に視界が明るくなった。

そこに見えたのは、広大な敷地に透き通った宮殿が乗っかった、第二の大地であった。


「アタシのマイホームへようこそ」

宮殿の前で着地したエッチは、足についたパチモンを振り飛ばし、指に挟んだ人間たちを宮殿の入り口に放った。


「なんなのだ、これは・・・」
初めて見た奇妙な空間の存在に、博士が呟いた。


「人間って死んだら天国に昇るって思ってるんでしょ?可哀そうだからアタシが本当に天国を作ってあげたのよ。
 メタ的な話をすると、ここは全てが、最も軽い水素で構成されてて、浮かす推進力にも水素を使ってるのネ。
 だからここを作るのにも保つのにも、水素獣のアタシでさえ苦労してるんだわ」

べらべらと言っている間にも、人間たちは逃げようとしていた。
その目の前に巨大な足が落ちる。

「天国に来た人間はあなたたちだけなのよ。もう少し遊んでいったら?」

「聞こえるなら答えてくれ。なぜお前が俺たちを?」
海原は約1km上の頭に向かって問う。

「あら?なかなかのイケメン君じゃない・・・でもアタシ、自分より背が高い人じゃないと付き合えないからー」

「聞こえてないのか・・・」

「分かったわ答えてアゲル。
 ・・・アタシがこのマイホームとアタシ自身の極限の美を保つ為には、膨大な水素が必要なのよネ。
 ヘドロちゃんたちの培養にも敷地が必要だから、随分と手を焼いたし。
 それで、本物の怪獣ってのは普通、確固たる設定を持ってその上で能力を自由に発揮できるでしょ?
 だからアタシ、パチモンなんて軟派なモンじゃなくて、より強力な本物の怪獣に昇華したいのよ!
 ・・・そうじゃないと何も出来ないのと同じじゃない?・・・アナタたちもそう思わなくって?」

水素獣はその問いを背後のパチモンたちに投げかけた。

「そうだな・・・」
トーボーズが言った。

「確かにパチモンってのはただの偽物で・・・」
ラコも呟く。

「ボクラ ニ デキルコト ハ アバレル コト クライダ・・・」
ダイゴラスが体を起こしつつ言う。

「ママン、たしかにおいらたちは本物より弱い、だけど」
キュラドロスが体を吐き出して言った。

「・・・無力だと思ったことは、一度も無い!」
ドイラーが立ち上がり、角から光の刀を伸ばす。

「クソが・・・」
ヒムラーも頭上の巨大な顔にガンを飛ばした。

「ウオオオオオオオオオン!!!」
突如鳴き声が響いて、エッチの足元に巨大な古代魚が姿を現す。

ブロマイドを投げた海原たちは、素早く宮殿に退く。



「アナタたち、力は欲しいけど、不満に思ったことは無いんだ・・・へぇ。
 イイわね。面白くなってきたわ。今からアナタたちに、力の差がどんなに重大か教えてアゲルわ!」

水素獣が足元の8体のパチモンに言い放つ。と同時に、口から無数の奇妙な球体を吐き出す。
それはふわふわと舞った後、急激に襲いかかり、ポン、と音を立てて爆発した。

その軽い音の割にパチモンたちはよく吹き飛び、それぞれ叩きつけられた。


「なんだあ、今の・・・」
おじけづいたトーボーズが言う。

「解説するわ。アタシの水素弾は酸素と結合したくてうずうずしちゃってるわ。
 で、今アナタたちを取り囲んでる地上の酸素に吸い付いて、ポーンといっちゃうワケ」

「つ、ツッコミどころ満載だ・・・」
「火はどうした、火は」
海原と博士が思わず言うと水素獣は振り向いてウインクした。

「そうね、それが出来るのがパチモンの強み、ってトコかしら!」
また吐き出された水素弾が、人間たちに向かい、水浸しにした。

「まさかこの年で水遊びする事になるとはな」
元首相を筆頭に、人間チームが宮殿に駆け込んでいく。


水素獣はその様子を見届けると向き返ろうとした。
「さてと、これで思う存分戦えるんじゃなぁい?」

だが振り返った先には、キュラドロスに持ち上げられたドイラーの切先が、鼻先についていた。

「残念だったな、水素獣エッチ・・・何事ももうこれ以上、おぬしの思い通りにはならぬ」

その言葉を聞いたエッチはホホホと笑った。

「残念なのはアナタたちよ。本物の怪獣にしてもらえるなんて、本当に信じてたなんて!!」

「ああ、本当に情けねえよ俺。こんな奴にダマされるなんて」
「あんたが主催者だって知ってたら信じなかったよ?」
「クソが・・・」
下の方で声がした。

「それどーゆー意味よ!あとさっきからクソクソ言ってるの誰よ!」

「クソが・・・」
ヒムラーが言いながらエッチの足の上に鼻くその山を作っていた。


「きぃーーっ!」
エッチの目の色が変わったのを見てドイラーは目を見開いた。
奴の鰭が振動している、しかも光を放って。
あの技は!

エッチの頭の側面から巨大な光の刃が飛び出していた。
そして気づいたドイラーが一太刀浴びせる前に、それはドイラーたちに斬撃を食らわせていた。

「!!」
打ち落とされた、ドイラーとキュラドロスが見上げる。


「そそ、気づいてなかったみたいだけど、アナタたちは今、この水素フィールドを通して、
 アタシと繋がっている。だからここに居る限り、アタシはアナタたちのエネルギーを、その能力を、
 ずっとチューチューできるわけ!」
水素獣が高笑いした。

「貴様!」
ドイラーが光の刃を出そうとする。が、その光は地上にいるときよりも弱いものになっていた。

「奴は水素フィールドに引き込むために俺たちをここに・・・」
ラコが言っている間に、トーボーズは走り出していた。


「だったらこいつはどうかな?さすがに体重までは吸い取れまい!」
トーボーズが飛び上がって、3連続ドロップを食らわせようとかかった。

だがエッチもその巨体を振りかざし、トーボーズにのしかかった。
そして敷地の端の方へと押しやった。

「お勉強済みよ、ひどく簡単な技だしね」

水素獣が言い、再びトーボーズに襲い掛かる。

「もうアナタからは大したエネルギーの取得は望めない。あっち行きなさい!」

「トーボーズ!危ない!」
ラコがトサッガーを繰り出し、水素獣の後頭部を切った。
のしかかるのを中断させたが、それは攻撃の対象が代わったことを示していた。

「ラコちゃん?アナタはアタシのペットにしようと思ってたから傷つけたくなかったけど・・・
 反抗する犬なんか要らないわ!消えなさい!」

エッチの両側の鰭が分離し、トサッガーのように切りかかる。
ラコのトサッガーが戻るより早くそれは襲い、ラコの体に刻んだ。

「こいつ・・・どんな技でも・・・」

戻ってきた鰭が再び襲おうとする。

「ラコ!」

ダイゴラスが、煙突を放り投げて鰭を相殺した。
鰭は失速したが、やがて水素獣の元へと戻っていった。

「すまね、ダイゴラス」
「ハヤク、トサカヲ」

「アナタみたいなタイプは好みじゃなくってよダイゴラス!でしゃばるのはお止めなさい!」
エッチはポーヒーと音を立てて2つの巨大な水素弾を吐き出す。

それはダイゴラスとラコを包んで大爆発した。


「このこのー、きもちわるいんだよー」
一方サイハタリも、水素獣の足を踏みまくっていた。

「何よ!アナタも大概じゃない!クソガキちゃんね!エリート教育が呆れるわ!」
エッチは大足を持ち上げて、サイハタリを踏み潰した。

「足拭きマットにイイわね」


「ママン、もう止してよ、ママン」
また浮上していたキュラドロスが、触覚を水素獣の足に絡ませ、持ち上げようとしていた。

「何よ、ママに逆らう気?ていうかアナタまだ生きてたの?そんなにオシオキが欲しけりゃ・・・」
エッチの顔が上下半分に分断した。
上半分は、キュラドロス同様にUFOの動きを披露する。

「あんなことまで・・・」

「パッチワークモンスターとは元々バラバラなもの。こんな風にしても不思議は無いでしょう?」

エッチは言いながら、キュラドロスと高速で飛び道具の撃ちあいをしていた。
だが弾の大きさでは圧倒的にエッチが上であり、キュラドロスを簡単に撃墜してしまった。

その時水素獣の下半身にはウオーが向かっていた。

「ウオオオオオオオオオオン!!」
大口を開いて、その足に噛り付く。
理性がある怪獣なら、とても噛み付きたがらない足だが。

噛み砕こうとしている間に、エッチが再び上下半身を合体させた。

「なかなか刺激的じゃないの。でもアタシのほうが・・・」
水素獣は足をウオーの口から引き抜くと、そのまま飛び上がった。

そしてウオーの頭上にのしかかり、開脚した。

「その身で感じなさい!力の差を!」

エッチは足でウオーの顔をはさむと、その巨大な頭を巨大な股で絞めるようにした。
それはいわゆる幸せ投げというより地獄そのものだった。


もうぐったりしたウオーの上に、爆弾が投げられて、エッチの頭が炎上する。

「熱ッ!!」

「やっぱオレの思った通りだ!さすがに火は効くだろう!」

ヒムラーが思ったも束の間、エッチの体からは水が噴出し、消火していた。
ウオーの能力だ。

「残念ね。ここまで読んでもらわないと」

「クソが・・・」

ヒムラーが自棄になって、爆弾をばら撒く。
それがエッチの足元を埋め尽くした頃、ヒムラーの皮膚がガバッと開き、ガスの噴出孔が露出した。
そして強力な引火ガスが放出され、爆弾の山へと向かう。

「やめろ、ヒムラー!」

ドイラーの制止もむなしく、大爆発は起こった。


そして水素フィールドの真ん中に大穴が開き、黒煙からヒムラーが逃れた頃、
彼の頭上にはまだ、エッチの姿が浮かんでいた。

「ひどいじゃない、阿多親地をこんなにしちゃうなんて。
 ・・・まあ構わないわ。すぐに戻しちゃうから」

エッチも、全身の毛穴から噴出孔を見せ、水素弾を撒き散らした。

それは水素フィールドを歪な形に直すと同時に、ヒムラーを中心に爆発を起こさせた。



宮殿の周りには、8体のパチモンがそれぞれ倒れこんでいた。

もはや水素獣エッチを止める者は、ここには居ない。

人間の機転で、1000mのバケモノを、道具なしで倒すのは、難しい。


「いいこと?
 エッチとはHydrogen<水素>のH。
 エッチとはHeaven<天国>のH。
 エッチとはHoly<聖>のH。
 エッチとはHope<希望>のH。
 エッチとはHyper<超>のH。
 エッチとはHuge<巨大>のH。
 エッチとはHigher<より高み>のH。
 エッチとはHeroine<英雄>のH。
 History,Home,Hour,Human,Hamburger,Humor,Heat,Hervest,Heal,Happy,Harmony!!
 アタシは全てのエッチをHave<所有>するの!!
 そうなればもはや、怪獣などというものにこだわる必要さえも超えた存在!!」

水素獣には後光が差していた。
そうしてパチモンたちは次第に体力を奪われていく。


「おいおい格好つけたのはいいが肝心なの忘れてるぜ。Heel<悪者>」
焦げた体を起こしながらラコが言った。

「HellにおちてHideしろよ」
ぺしゃんこのサイハタリも立ち上がった。

「あとはHEN☆TAIだ!!」
ヒムラーが叫んで、他のパチモン達も立ち上がった。


「あー最後の忘れてたわー」
水素獣が言っている間、トーボーズはうつむいてブツブツ言っていた。

「どうしたトーボーズ?」

「もうだめだぁ・・・おしまいだぁ・・・」

「オチツイテ、トーボーズサン」
ダイゴラスが肩を叩いた。


「俺、パチモンだし、強くないし、ここまで来て、騙されて手も足も出なくて情けなくて・・・
 本物の、ガ○ラみたいに強かったら、甲羅があったら・・・」
トーボーズは地上での過剰な自信を失っていた。


「そうか。よく聞きなトーボーズ!
 俺たちが、お前の甲羅になってやる!!だから・・・」

ラコが言ったのを聞いて、トーボーズが顔を上げた。
8体のパチモンたちはトーボーズの元に集まっていた。

「俺の、甲羅に・・・」



「一体なんのつもりよ、アナタたち?さっきの聞いてなかった?」


「ああ、よく聞いていたぞ、水素獣殿」
ドイラーがエッチを睨みあげた。

「さっき言ってたよなー?パチモンは元々バラバラだってさ?」
ヒムラーが爆弾を置いた。

「それでもおいらたちがこうして形を保てるなら、逆も然り・・・」
キュラドロスが胴体を切り離す。

「もう一度パチモンを作るまでさ!!」
サイハタリが肩をまわした。

「フォーメーション、オクタゴン!!」
ダイゴラスの目が輝いた。

「八体合体!!」

ラコがトーボーズの背に飛び乗り、同時にウオーが波で跳ね飛ばす。

そして八体のパチモンは波に乗り宙を舞い、その水に包まれた。

その中で、元のバラバラになったパチモンの体が渦巻き、新たな体を形成しようとしていた。

全てのパーツが重なり合い、頭、胴体、腕、足、尻尾を形作っていく。


そして包んでいた水球が弾けた後、そこにいたのは一体の巨大な怪獣であった。


「新合成パチモン怪獣、オクタゴン!!」



「あれは・・・!」

宮殿前から様子を見ていた道香が呟く。
その姿は、三年前にヘドロの軍勢を焼き払った「本物の怪獣」に酷似していたのだ。


「キーッ!水増ししてアタシと同じ大きさになるなんて!」

水素獣の怒っている目前に、オクタゴンはゆっくりと下りてきた。

「お前には正真正銘の地獄に堕ちてもらおう」
オクタゴンが、腕に光の刃を形成し、手の平を突き出した。

「堕としてみなさいよこのアタシを。
 合体したとは言え、アナタたちは息絶え絶え。
 その上、アタシがそのエネルギーを貰っていた訳だから、アタシの合計の力の方が上よ」

「単純計算ではな」

オクタゴンの刃が、エッチの片足を斬り飛ばした。


「な・・・結晶であるこのアタシを・・・いとも簡単に・・・」

「お前がどんなに強かろうと、脳も感覚も一つしかない。
 私たちは八身一体。全てが八倍だ!!」

「なぁにそれぇ」

言った瞬間の事、オクタゴンの手先が、エッチの顔のど真ん中を打ち抜き、めり込ませた。

「ふぐぐ・・・」

「ツッコミどころ満載なのがパチモンの強みなんだろ」

めり込んだ手は超音波と電撃を発し、直後に爆発を起こした。


「・・・・・・あ、あんたら、ただじゃおかない・・・」
エッチの顔面は、福笑いのように崩壊していた。

「私たちもただで済ますつもりはない。刺し違えてでもお前を倒す」
オクタゴンが構えた。

「へえ、自分達で分かってたのね。ガタが来てるって!」

水素獣は水素弾を連射した。
爆風でオクタゴンを跡形も無く吹き飛ばす作戦だ。
しかしこの状況の連弾は・・・

「確かに、この形を保つ力は大して残っていない。
 解ければ全身が散らばり、もう元には、戻れないだろう。
 だがお前に止めを刺すのには、充分だ!」

水蒸気の中から、オクタゴンが飛び出す。
そして、全身から光の剣を繰り出し、体を高速回転させた。

光の弾丸は、水素獣エッチへと特攻する!

「勝てると思わないで!アナタたちは勝っても、パチモンのままなんだからッ!!」


水素獣が飛び蹴りを放ち、オクタゴンの突進とぶつかり合う!

「私たちはパチモンだ!本物のパチモンだ!!」

「貫いてみなさいよパチモン!それを超えた存在に、アタシは!!」


一進一退の激しい鍔迫り合い。



だがそれはポンッといった爆発音から終わりを告げた。

エッチがつま先から爆発を起こしている。

「・・・アタシ・・・」

水素獣の足が爆発して水に変換された。

「感じろ水素獣エッチ!これが本物との力の差だ!!」


水素獣が破裂する。

直前、走馬灯が流れた。

「・・・美人なママン・・・変態なパーパ・・・アタシはパチモンで、よかったの・・・?」


それに伴い、水素フィールドは水素爆発を起こす。

全てが吹き飛び、宮殿も、地面も、木っ端微塵になった。



凄まじい爆風が地上にも吹きつけた。

避難していた町の人々が、空を見上げながら集まってくる。



彼らの目には、光の防御壁に包まれ、下降してくる巨大な怪獣の姿が映っていた。


「か、怪獣だー!逃げろー!」


人が散り散りに去った後、オクタゴンが海に着水し、港へと向かう。

そして巨大な手の平から、道香ら人間を降ろす。


「・・・よくやってくれた、パチモン達」
元首相が言う。

「怪獣に怪獣をぶつける。今回は大成功ですね」
海原が、オクタゴンに拍手を送った。

「ダイゴラス、そのお友達、お前達は、怪獣でありながらわしらを救ってくれた。
 お前達は正真正銘、本物のパチモンだ」
博士も拍手を送る。

「博士、これで、安心してコンビナートを復旧させて欲しい」
オクタゴンが博士に向けて言った。

「ああ、本当に、ジジ孝行な孫だよ、お前は・・・」


その様子を、少し離れて、道香が見ていた。

「ドイラー・・・」

「ミチカ・・・?」

「ドイラー?ドイラーの言葉なのね?分かってる、あたし達、話してるのね!」

「そうだ、ミチカ・・・・・・言っておかねばならぬことがあった・・・」

「え・・・?」

「拙者は、君のおにぎりがなくても、光合成で生きていく事が出来たのだ。苦労をかけて済まなかった」

「あ、そんなこと・・・」

「だがおにぎりは必要だった。おいしかったし、届ける君に会えたから」


「・・・ドイラー・・・・・・。
 ・・・なんでそんなこと、改まって言うの?
 これからはあたし達、一緒に暮らしていけるんでしょ・・・?」


「残念だが・・・・・・。

 どうやら、私たちはこの数日で力を使いすぎた。

 無理もない。私たちはパチモン。本物の怪獣のように振舞っていたら、命は尽きる。

 だから尽きる前に、合体した仲間を殺す前に、私たちは眠りにつこう。

 ”おやすみ”、道香・・・・・・」


オクタゴンは膝をつき、目を閉じる。
その体は少しずつ、色を失っていた。



「・・・・・・ドイラー・・・みんな・・・・・・・・・ありがとー!!」

涙を振り切って、道香は叫ぶ。


「また会おう、道香・・・博士・・・人間たち・・・!」


海には、8枚のブロマイド、トランプが浮かんでいた―。






それから半年。


またも二人の男がおでん屋に居た。

「おお、来たか海原君」

「しばらくぶりです、元首相」

「気にするな、私も忙しいから」

「忙しい?」

「私も、批判されてくたばった”元”首相のままじゃ終われないんだよ」

「そうですね。・・・元首相」

「何だね?」

「俺今度、大臣になります」

「まじか・・・」


所変わって、大悟第五コンビナート。

そこでは、ダイゴラスの、四分の一ほどのサイズに縮められたものが闊歩していた。


「ほらほら、頑張れ!そんなことじゃ、ご先祖のダイゴラスに追いつけないぞ!」

大悟博士改め総合責任者が、荷物を運ぶテツゴラスたちをしごいて言った。

「ムリデスヨ、ハカセ。ゴセンゾ サマ ハ、モット オオキカッタ ノデショウ?」

「ええーい、言い訳はいいわけ、追いつけるよう精進せい!」


「あんまり、いじめないであげてよねー?」
その様子を横目に、道香が言った。

そして、夕暮れの海に向きなおす。

海を見れば思い出す、楽しいことも嫌なことも。


そして胸のポケットから、一枚のブロマイドを取り出す。

「ドイラー・・・・・・」


ドイラーの絵柄の背景には、道香の暮らした町が写っていた。


「絶対、いつか、戻ってきてね・・・。」


海は、三年前より、その前よりもずっと、透き通り、輝いていた。




\ 完 /
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  1. 2011/06/11(土) 20:04:12|
  2. ぼくたちのどうしようもない妄想
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パチモン怪獣大熱戦:第7話「ある夏の日のこと」

早朝。
ドイラーが出かけている事を知っていた道香は、自宅で起きてから直接学校への道を行った。
だが、直りかけていた学校は、門が閉まり誰もいないようだった。

道香は、町から人気を感じない事に気がつく。

どこに集まっているのだろう?山?海?
いつも、祭りの会場になっている港の方を覗いてみよう・・・。

坂道を下った道香は広い港へとたどり着く。
船も停泊しておらず、あるのはいつも通りの、淀んで底の見えない海。

波の動きが止まったように静か。
道香は海に近づいてみる。


「・・・海坊主?」

道香の目前に、小島が浮かんできた。

数秒して、道香はそれが異臭を放っている事に気がつく。


「何・・・・・・?」

目の前の小島は、少しずつ浮上していく。

次第にその下に隠された全貌が露出していく。


そいつは姿を現した。

うつろな瞳で、ただ一点を見つめている。

道香を見つめている。


「・・・・・・!」
えも言われぬ恐怖が、道香を襲った。

体が震えて、目をそらす。

町が、汚物に沈んでいるように見えた。

恐怖がそうさせているのか、それが現実なのかは分からない。

道香が向き直ると、そいつの全身像が露になっていた。
巨大な目、巨大な口、とってつけたような手足。

道香はそいつを見た事があった。
道香はそいつを知っていた。


「グッバアアアアアアアア!!」

ヘドロが、口から汚物を吐き出した。
それは宙を舞い、道香の横に落とされた。
跳ね飛んだ泥の水滴が、彼女の顔にかかる。

道香はそいつを思い出した。


「そんな・・・」

彼女は自転車を投げ出して、座り込んだ。

頭上では、ヘドロの目がぎらぎらと光っている。


「ど、うして」


道香は見ていた。

あの時。

地獄を。

この小さな町に、狭小な島国に、閉じ込められた、歩く汚物たちがぶつかりせめぎあう姿を。

みんないなくなった。

父や母、家族、友達、知らない人。


道香は気づいた。

「・・・あたし、は」

そして今。

あたしは、あの家で、一人で暮らしているんだ。

家族の誰もいない家で。

いると思っていたのに。

あたしはあれからどうやって生きてきたの。


ドイラーの、働いたお金を使って・・・。


「あたし、何考えてたんだろ・・・・・・」

無意識の内に?

あたしは全て忘れていたんだ。

あの時が怖かったから、全部忘れて。

ドイラーに頼っていた。

彼のことだけを考えて、他の事を忘れたかっただけなんだ。

あたしは、おかしかった。

あの時からずっと。

そしてあいつは、ヘドロは、ずっと見ていたんだ。

あの時からずっと。


「ドイラー・・・」

あたしはこの期に及んで彼の名前を呟いた。

またそうやって頼るの?
またそうやって逃げるの?

ヘドロはあたしに触れようとしていた。


そして閃光が走り、頭上の汚物は吹き飛んでいた。



「・・・ドイラー・・・」

道香が見るとそこには、すでに息を切らしたドイラーの姿があった。

それを受け、海に複数の頭が浮き上がって、幾つものヘドロが姿を現した。

ドイラーは道香に背を向け、淀んだ海に飛び込む。

そして光の刀で公害怪獣を切り刻んだ。

だが一匹斬るごとに、その数倍の数のヘドロが姿を現していた。


ドイラーは道香を遠ざけたかった。

今は、あの時のように本物の怪獣はいないのだ。

自分一匹で相手に出来る敵ではないと知っていた。

ドイラーは彼女に逃げるように促す。


「・・・ごめんなさい、ドイラー、ごめんなさい」

彼女には唸っているようにしか聞こえないのだ。

ドイラーは懸命にジェスチャーをする。

彼女の反応は同じだった。

ドイラーは、道香が何かおかしいと感じた。


そうしている間にもヘドロは増殖を続け、ドイラーを目掛けて向かってくる。

光の刃は幾度も舞うが、汚物の塊はその数を増す一方だ。

三年前の戦いで、ドイラーはこいつらに熱が有効であることを知っていた。

だが、一人で一匹ずつ相手にしていたらとても間に合わない。

ドイラーは自分が、ヘドロの集団の中に埋まっていくのを感じた。

こうして人々もパチモンも、消えていったのだ。

・・・あの時と同じだ。


「ドイラー・・・!!」

道香は、唯一の頼りが怪物に埋もれていく様を見て、絶望していた。
あの中で、それでも彼が足掻いているのを見る事が出来た。

ドイラーは何のために戦うの?

あたしのため?


「逃げて!!ドイラー!もういいよ!あなたまで死んじゃったら、何も意味ないじゃない!
 あたしなんか置いて逃げてよ!早く逃げて!早く・・・・・・」

道香は泣き叫ぶ。

ヘドロの群れの中、か細い光の筋が出て、消えていった。


「・・・もうやめてよ!ドイラー!!
 ・・・・・・そいつらに勝てるのは、「本物の怪獣」だけなのよ!!・・・・・・」


ドイラーの目がカッと開き、彼の意識はハッキリとしたものに戻った。

自分こそが本物だ!!

背びれから光の剣が飛び出し、ドイラーが空中で高速回転する。

群がっていたヘドロの山が、その上半身がきれいに吹き飛んで、海に溶けていった。


「・・・ドイラー・・・」

道香の見たドイラーの姿は変わり果てていた。

全身の皮膚はヘドロの毒素で爛れたようになり、弱った表面からの出血は止めどなく静かに流れ続けていた。

それでもドイラーは道香に背を向け立っていた。

もうお互いに、何を言っても逃げないだろうと思った。
だからまた二人は共にいるのだ。


満身創痍のドイラーに対し、ヘドロは手加減どころかより大勢で取り囲もうと迫る。

道香はどうにか彼を救えないかと考えた。

だが自分の意識も充分に混乱し衰弱しており、その答えを見つける事は出来なかった。

大群が再びドイラーを飲み込む。



閃光、大爆発が起きて、汚水の雨が降った。


「・・・ヒムラー殿・・・」

ドイラーが呟く。


道香の目前で、あの黄色い爆弾魔怪獣が海に飛び込み、ドイラーと並んだ。

「スケダチに来てやったぜ、ありがたく思いな」

ヒムラーは例によって巨大な車を持っていたが、今度はそれが幾つも連結した奇妙な武器に変わっていた。

道香が驚いているとヒムラーはそれを振り回し、ヘドロに叩きつけ、次々に木っ端微塵にしていく。


「かたじけない」

「どういう意味だか知らんが、
 こういう時は一匹一匹丁寧にお相手にするんじゃなくまとめてブッ飛ばす方がお利口だと思うぜ!」

ヒムラーは闇雲に爆弾をばら撒き、ヘドロを沈めていく。

だがこれでも数が減っているとは言いがたかった。


「くっ・・・」
ドイラーとヒムラーは背中合わせに大群と対峙した。
「これは分かりやすい追い詰められ方だぜ・・・」



「またせたなぁッ!!」

なんかうわずっててイマイチ聞き覚えの無い声。

そして二つの影が水面に映り、水飛沫の後にその姿を現した。

「亡霊怪獣トーボーズ、ただいま参上!」
「お役に立てないと思うけど、来てみたけど」

トーボーズとラコも、二体の隣に並んだ。

「やれやれ随分と込み合ってきたな・・・」
「いや、離れるとあの時のように飲まれるのが早くなってしまう、これでいい」

ドイラーは以前の戦いで、自分と本物の怪獣以外の同胞たちが、全て飲み込まれていったことを思い出していた。
だが今のチームなら、それを超えられる気がしたし、もう同じ事を繰り返す訳にはいかないのだ。




「ハカセ、アレ ガ コンビナート ヲ ダメ ニ シタヤツ?」

「そうだ、富も名声も家族も何もかもが、あの大群に埋もれてしまった」

港の入り口にはダイゴラスと大悟博士の姿があった。

「ジャア、ボク ガ ヤッツケテ クル」
「気をつけろよ、ダイゴラス」

ダイゴラスが全身からスパークを飛ばしながら、海に飛び込む。
隣接していたヘドロが、感電し破裂した。


ダイゴラスに手を振っていた博士が、視界の隅にいる少女に気づいた。
道香も、老人の視線を感じて、振り向いた。

「・・・・・・おじいちゃん・・・」

「・・・道香・・・・・・」


ドラ焼きUFOが、ダイゴラスの後を追ってたどり着いた。

「みんな、おいらにも一枚噛ませて」
キュラドロスが再び胴体を吐き出し、それにドッキングした。

そしてヘドロの大群を次々に噛み砕いて、触覚で細切れにしていく。


激戦は続き、ようやく大群に減りの兆しが見えてきた。


そこへ一台のタクシーが辿り着き、中から二人の男が飛び出す。

「遅かったか・・・?」

「今からでも遅くはない、早く開放するんだ」

海原がウオーのブロマイドを大海原に投げ込む。

水面が急激に盛り上がって、大魚竜ウオーが大口を開けた。

ドイラーたちが気づいた時、ウオーは汚水ごとヘドロの軍団を吸い上げ、噛み砕いていた。
それらを飲み込むと、体の隙間から濾過した水を噴出し、海に還していた。

「公害対策用生体兵器"Waste Hydrant Oxyridable Weapon"略してWHOW。
 我々人間も、同じ事を繰り返さないよう努力はするんだよ」

海原が、次第に浄化されていく海を見て言った。


それからヘドロは見る見る減っていき、
遂に、最後の一匹をドイラーが斬る。

「・・・やったか・・・?」


「あーしんどかった」
トーボーズが言う。

「あんたなんもしてないだろ」
ラコが言い、その後で近づいてくる影に気づいた。


「遅かったなァ、サイハタリ」
ヒムラーがサイハタリの肩を思い切り叩く。

「ぼく、足おそいもん、しょうがないでしょ」
サイハタリは言い訳するが、その後はヒムラーの持つ車に釘付けになっていた。


一方ドイラーとダイゴラスは腰を下ろした後で、道香と博士の様子を見守っていた。

「・・・戻ってきていたのか、道香・・・」

「どうして、おじいちゃんがパチモンと一緒に・・・」

「生きていたのなら、わしの所に来れば良かったものを」

「あたし、コンビナートも駄目になったって聞いてたから、てっきりおじいちゃんも・・・」

「そうか・・・だがもう会えたから安心だろう。・・・道香、一緒に帰ろう」

博士、いや道香の祖父が手を差し伸べる。

「帰る?いきなりそんな、急に言われたって、帰れないよ」
道香は手を隠す。

「どうしてだ?今まで苦労して生活してきたんだろう?」

「・・・・・・全部、ドイラーのおかげだったのよ。
 あたし、どうかしてたし、ずっとドイラーに頼って・・・だから今度は、ドイラーに恩返ししなきゃ・・・」

道香は、自分だけの傷ついた英雄を見上げた。
ドイラーには、道香が自分を見た理由は解らない。

「マサカ、ハカセ ニ モウヒトリ マゴ ガ イルトハ」
ダイゴラスが呟く。

「孫?」
ドイラーには今になって道香を解った気がした。


「・・・そうか。わしも強引に連れて行く気は無い。だが、面倒は見させてくれよ」

博士が言うと、道香は頭を下げた。
ドイラーもつられて下げる。


「ドイラー、ボク ガ ニンゲン ノ コトバ、オシエテアゲヨウ」
様子を見て、ダイゴラスが言う。

「本当か?」

「ミッチリ オシエルカラ、カクゴ シトイテ」
ダイゴラスが言って、博士に目配せした。
博士もハイタッチのふりをして返す。


「・・・何か、上手くいったようですね」
ウオーのブロマイドを木の棒で回収しながら、海原が言った。

「かつて怪獣といえば災厄の象徴であった。ましてその複製品とあれば」
元首相が面白そうにそこまで言って、止めた。

「いや、パチモノだからこそ我々の味方なのか?」


ふとドイラーは思い出していた。

ある夏の日のこと。

公害の深刻化と環境保全組織の失敗で爆発的に増えた、公害怪獣。
それが小国を飲み込み、それに閉じ込められ、せめぎあっていた頃。
最初に現れたのはこの町で、最後にも国の末端であるこの町に集合していた。

本物の怪獣と、それを慕うパチモン怪獣軍団はそれを打倒すべく、この町を決戦の地に決めた。
熾烈を極めた戦いの中で、人間も、パチモンも、ヘドロも皆、等しく流れ去っていった。
皆、等しく公害の被害者だった。
ヘドロ達は、道に迷ったかのようにせわしなく歩き回り、ぶつかり、人間とパチモンを葬っていく。
消えていく同僚を見た後で、ドイラーも大群に埋もれて行った。
そうして、ヘドロだけが残った頃、本物の怪獣が遂に本気を出し、大群を殲滅した。
ドイラーはその光景をうっすらとだけ覚えていた。
本物の怪獣が、生きている自分に気づかず帰ってしまったことも。

そして今のドイラーがあるのだ。
取り残された、という点ではドイラーと道香は似た境遇だった。
だが道香のほうは、もう迎えに来る事は決してないと分かりきっていた。
三日三晩泣いていた道香を、ドイラーは見守っていた。
そして目覚めた彼女は、妙に彼になつくのであった。


今日もあの日のように日差しが強い。
だがここにあるのは悲しみではなく、妙な達成感だ。

ドイラーが晴天を見上げる。

・・・戦いは、終わっ




「なんか日差し強すぎね?」
「言うな、ラコ」

思わずラコが突っ込みを入れるほど、日差しが強くなっていた。

空が輝いている。

神々しい光を放っている。


それはまさしく光臨であった。


「取り込み中のトコ、ごめんなさいね?」


雲の切れ間から、巨大な足が見え出す。

それは人間に似た五本指。

非常に長い足を露出し終わった後、現れたのは体ではなくいきなり顔だった。

足に顔がついている。

いや顔に足がついている。

しかもでかい。

全高がでかい。

大体1000m級といった所か。

しかもセクシーなポーズをキメている。

見た目を除けば、その様はまさに女神光臨。



「パチワン四天王最後の一人、水素獣エッチちゃんよん♪」




「あれが本当の、主催者H・・・」
トーボーズが呟く。

「あ、ヘドロじゃなかったんだ」
ラコが言う。

「キモチワルイ・・・」
ダイゴラスが言(ry

「びえええええんこわいよおおおお」

「ママン!迎えに来てくれたんだね!」

「おぬしが、黒幕か・・・!?」

「クソが・・・」



水素獣エッチは、つま先から奇妙な光を発しながら、水面に浮いていた。

「あなたたちの戦い、上から見させて貰っていたわ。
 全員なかなか、ガッツがあるじゃない?
 だからみーんなまとめて、アタシがイタダいて、ア・ゲ・ル」

水素獣はウインクした。


「くぇえwくぇくぇ」
「」
「キモチワルイ・・・」
「びえええええん」
「ママーン!」
「くっ・・・」
「クソが・・・」


「あら?みんなノリ気じゃないみたいね・・・・・・
 しょーがないわねー・・・!!」


水素獣エッチの長い脚が伸びる。

その狙った先は、道香だった。

足の小指が開いて、彼女に迫る。

そうして彼女の逃げる間もなく、指の間に道香を捕らえてしまった。

「何!やだ!これ!」
「今、取ってやる!!」
大悟博士が向かい、続いて海原らも協力する。

だが、他の指も一斉に開き、彼らも足に捕らえられた。

「くそ、なんて力だ、まるでペンチだ」


「この人間たちを死なせたくなければ、アタシの「天国」に来る事ネ♪・・・・・・」

人質を指に挟んだまま、水素獣は上昇していく。


「逃がすかァ!」

7体のパチモンは駆け寄り、そのままエッチの右足に飛びついた。


「ああん、いきなり全員で登ってくるなんて、ゴーインね!!
 ・・・でも、それでよくってよ」


そして水素獣とそれに立ち向かう者たちは、雲の中に消えていった。

  1. 2011/06/05(日) 22:19:18|
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パチモン怪獣大熱戦:第6話「パチモン絶滅残りは本物」

おでん屋の屋台に、二人の男の姿があった。

「来たか海原君、今朝のニュースは?」

「ええ、見ました」

「・・・3年前にこの国を混乱に陥れたアレが、またも姿を現すとは・・・」

「環境保全団体の過剰運動の末に生まれ、今世紀最大の公害を世界に撒き散らした、公害怪獣ヘドロ・・・」

「アレは絶滅したのではなかったのか?・・・あの時から、まだ我々は立ち直っていないというのに」

「・・・何者かによって復元されたと考えるのが妥当だと思います」

「だが、そんなものを作る技術関係は今、全て政府の監視下に置かれているはずだ」

「少なくともマトモな人間のやることじゃ、いや、人間であるかすらうかがわしいですね」
海原はそう言って、つ く ね を串で貫いた。

「君はどうする?」
「やることは一つですよ、元首相」
「・・・ウオーがようやく本来の役目を果たす時が来たわけだな」
「急ぎましょう、全てが手遅れになる前に」



タメリカ合衆国
ブロリダ州 \デデーン/


広大な荒地の広がるこの殺風景な観光地に、三体のパチモンが姿を現した。

「もう貴様らに逃げ場は無い」
腕の鋏からトーボーズとラコを開放した、がいこつバルタンが言う。

「おい、一つ教えろよ、わざわざ俺ら二匹だけ連れてきて何を始めようってんだ?」
既にぐったりしているトーボーズが問う。


「決まっているだろ、貴様らの顔の皮を剥がして、首を挿げ替えてやるのだ」
がいこつバルタンが不気味に笑った。

「悪趣味なヤツだぜ・・・」
「パチモンなんてそんなもんだけどね」


「さっさとオペを始めよう、まずは麻酔からだ!」
がいこつバルタンがハサミの間から瘴気を噴き出す。

「ラコの体なんか、嫌だぜ」
エネルギーを吸われ既に弱っているトーボーズは、力をふりしぼり亡霊ガスで応戦する。

「こっちもやだよ!」
トーボーズが瘴気を浴びる前、ラコが跳びあがりトーボーズを吹っ飛ばした。
二体の間をよどんだガスが通過する。

「動くんじゃない!大人しくしろ!」
がいこつバルタンはガスを撒くが、その噴射スピードは弱っているパチモンでさえ避けられるものだった。


「さっきハサミで掴んでる時かければよかったんじゃないの?」
「言うな、ラコ」

「ほう確かにそうだな、まずは患者の固定からだ」

「・・・そうはタコのなんとかッ!」
トーボーズは自らとラコに亡霊ガスをかける。

「これで俺たちに攻撃は当てられまい!」

「トーボーズ、あいつは亡霊じゃないの?見た目的に」


「フハハハハハ!機転を利かせたように見えたが、どうやら空回りのようだな!」
がいこつバルタンは並んだ二体に狙いをつけると、首の骨を外して音を鳴らした。
そして髑髏の目の中から、目玉が急激に膨張して飛び出し、回転を始めた。


「どうだか?あいつは得体が知れないから、まだそうとも限らないぜ?」
「確かに分かり辛いかも、何か仕掛けてくるようだけど・・・どちらが早いか・・・」


「めだまヘッドバッドォォォ!」
転がった枯れ草を跳ね除け、高速で突進してきた頭蓋骨が二体に迫る。

「行け、トサッガー!」
同時にラコもブーメランを放つ。

トサッガーが頭蓋骨に弾かれ、宙を舞う。
しかし渾身の頭突きが二体に当たる事は無かった。
戻ってきたトサッガーが、がいこつバルタンの背中に刺さる。

「GYAAAAAAAA」

「おい、こいつ、頭以外はモロそうだぞ?亡霊でもなかったし」
トーボーズがニヤニヤして言った。

「正体が分かれば怖くなんか無いね、じゃあ・・・・・・」


「・・・えっ?ちょっ、やめろおまえら、アッー」

数分後そこにいたのは頭が胴体になり腕が足になったがいこつバルタンの姿があった。

「分かった分かった、おまえらの言う事聞くから、元に戻してくれよ、な?・・・」

「へえ、じゃあ俺たちも、元いた場所に戻してもらおうか?」



一方、目本国・小阪県。

「此処デ、イイダロウ」
宇宙怪人ロボースが、小阪城の門前に、三体のパチモン怪獣を落とした。
そして自らも着地し、アイカメラを輝かせる。

「ドウイウツモリダ・・・」
ダイゴラスが体に電流を走らせながら問う。

「ここどこなのよー」
ひっくり返ったサイハタリが駄々をこねる。

「・・・AとB、なんで君らまで」
キュラドロスCが見上げると、ロボースの後続にキュラドロスA、Bが飛んでいるのが見えた。


「オコマコエハラ、ヲ小タ阪オ県スダダケダ」
ロボースの合成音声が、二つの問に同時に答えた。

「・・・貴様ラノ性能デハ、聞キ取レナイカ。不便ダナ」


「C、ママンに従う者でロボースに従わなかったのはお前だけだ」
「C、そういう訳でママンの命令で、ロボース様と共にお前を処刑しようというのだ」

キュラドロスUFOが口をパカパカさせて言った。



「モウイチド、イエ」

「コノ私ハ、他ノ四天王トハ違イ、エネルギーヲ自ラ生成デキル。
 ヨッテ、貴様ラノエネルギーヲ吸収シテモ何ノ意味モナサナイ。
 ヨッテ私ハ、本物ノ怪獣ニハナレナイ、ガ、ソノ阻害ヲ貴様ラニ、シヨウトイウノダ」

「ジャマ スルダケ?」

「早イ話ガ、ソウイウコトダ」

「あーもー、お家帰りたいよー!」
サイハタリがまたミニカーを投げた。
ロボースはそれを認識した瞬間に、目から高熱のレーザーを発しそれをドロドロに溶かした。

「貴様ラモ、スグニコウナル」


「AとB、君らはなんとも思わないの?」

「C、我々がどう思うかは関係ない」
「C、ママンの言ったように、もうお前は用済みなのだ・・・」


「AとB、おいら達はバラバラになった。君らはおいらをバラバラにしに来たんだね。
 ・・・じゃあ、おいらも君らをバラバラに出来るよう努力するよ」
キュラドロスCの触覚が天に向かって伸び、振動し始めた。



「サイハタリ、コイツ ト タタカワ ナケレバ!」
ダイゴラスの拳がスパークする。

「ぼくにロボット趣味はないんだよねー」
サイハタリがロボースを蹴るために向かう。


「近寄レルカ!!」
ロボースが目と手の平からビームを放射、その有効範囲からいって避けるのは不可能!
二体はそれを受けて後退を強いられた。

「なに、この、粉!」
「コナ?カデンリュウシ デハ ナイ?」
「知らないよ、習ってないもん」

「何ヲゴチャゴチャト。話シテイル余裕ガアルノカ?」
ロボースは問いながらもビームを照射し続ける。

「余裕があるから話してるんだよ」
サイハタリが言った。
そう二体はさしてダメージを受けている訳ではなかった。

「ジュウデン ガ ジュウブン デハ ナイノカナ?」
ダイゴラスがビームに逆らって直進、雷電ボールを至近距離で発して、ロボースを殴った。
首関節が音を立てたが、ロボースはその強固な装甲で拳を弾いた。


「ホウ、少シハヤルヨウダナ・・・ダガ、コレハ受ケラレマイ・・・」
ロボースが、自らの頭部を収納、腰を折って大砲のような姿勢をとる。
その砲口には徐々に光が集められていった。

「アウターカノン充填完了、放射!!」

凄まじい光の柱が、ダイゴラスとサイハタリを包む。

直後、辺りの森は吹き飛び、小阪城は音を立てて崩れた。


「あれ?」

「・・・エネルギー ヲ セツヤク シテルノカ?
 セツヤク ハ イイコト ダガ タタカウ トキ クライハ・・・」
ダイゴラスが言おうとすると、ロボースの目が赤く光った。


「コンナハズハナイ、超強力!ナ、大量破壊兵器!!デ、アルハズノ私が・・・・・・」

「だからその、Ms.Hってやつにみんな吸い取られてたんじゃないの?」
サイハタリが鼻をほじりながら言うと、ロボースは腕を振って遮るようにした。

「ソンナコトハナイ、H様ハ、私ニ絶対ノチカラヲ・・・」

「ミンナ ダマサレテタンダヨ・・・」
しかしロボースは戦う意思を失わなかった。


「私ヲ馬鹿ニシテイルノナラ、見セテヤロウ・・・
 四次元範囲形態砲撃!」

ロボースの四肢と頭部が切断され、独立した個々が意思を持ったように四方に散った。
胴体の3砲口、残りパーツの5砲口の計8方向から、様々な種類の光線が飛び出す。
それらは先ほどのビームよりも合計範囲が広いと言え、より避けることが難しかった。


一方、キュラドロスCは両腕をA、Bの触覚によって縛られ身動きが取れなくなっていた。

「C、お別れだ・・・」
「C、また会おう」
キュラドロスCの胴体が真っ二つに裂かれると同時、頭部ユニットが離脱、再び触覚をうねらせた。

「AとB、おいら、本気出しちゃうから」
その触覚はAとBの触覚に絡み、彼らの頭部も着脱させた。
そして口からのビームで、AとBの胴体も炎上する。

「C、やってくれたな」
「A、おいらも成長したんだよ」
「C、ただでは済まさんぞ」
「B、道連れがいいとこだよ」

絡み合った三機のUFOが宙を舞う。

そこへロボースの、多方向ビームの雨が襲ってきた。

「AとB、見なよ、ロボースも君たちの事なんか、考えてないんだ」

「C、触覚を解け、穴だらけになりたくなければ!」

「B、言ったはずだよ、道連れがいいとこだって」

そうしてキュラドロスたちは光線の束を受け、蜂の巣となり墜落していった。


「キュラドロス・・・」
ダイゴラスが言う間にも砲撃は止まずに襲ってきていた。


「だから、かゆいって」
サイハタリが言うように、はっきり言ってビームの威力は大した事無かった。


「何デ、貴様ラ、マダピンピンシテルンダ・・・・・・?」
ロボースは疑問に思っていたが、自信過剰になるようにAIがプログラムされている事など、本人は知る由も無い。

「サイハタリ、フタテ ニ ワカレヨウ、キミハ アタマ ト ドウタイ ダ」

ダイゴラスが言い、ロボースの四肢パーツを地に叩き落とした。

「なんでぼくが一番むずかしいところを・・・」

「オイシイトコ、モッテッテ」

「ぼくを活躍させてくれるんだ!へえ!じゃあお言葉に甘えて」
サイハタリがロボースの胴体を掴み、その後で思い切り踏みつけた。

「オイ、ヤメ口」
ロボースの頭部が言うが、他のパーツは全て沈黙し、非常に情けない姿になっていた。




「・・・・・・ト言ウトデモ、思ッタノカ?
 ・・・コノ私ノ、真ノ武器ハ「爆弾」ッ!!
 全パーツニ仕込マレタ、超強力!ナ爆弾ダッ!!」


「な、なんだってー」


「ソシテ、ソノ爆弾ヲ起動サセルノハッ!!」

ロボースの頭部がそう言いかけた時、超音波が集音部を劈き、直後に頭部もバラバラに裂かれた。


「・・・あぶないあぶない」
触覚が縮んでいった下にあったのは、キュラドロスCの頭部であった。


「ナンダッタンダ、アイツ」
ダイゴラスがキュラドロスの頭を持ち上げて言う。

「ダイゴラス、おそらく起爆スイッチは頭にあるって言いたかったんだ、まるごと斬っちゃったけど」

「びえーん、お家帰れなくなっちゃったよー」

サイハタリを尻目に、ダイゴラスとキュラ頭は飛んできた方向へと戻っていく。


「サイハタリ、西の方だから、こっから君ん家近いぞ」

「びえーん、いいよ分かったよついてくよー」


サイハタリも同行し、三体のパチモンは決戦の地へと戻っていった。

まだ決勝戦は終わっていないのだ。
  1. 2011/06/02(木) 18:39:00|
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パチモン怪獣大熱戦:第5話「準決勝はグダグダ死闘な予感が」

「パチワン」予選を勝ち残ったパチモン怪獣、トーボーズ・ダイゴラス・キュラドロスC・ドイラーの4体は、
係員のキュラドロスA・Bに連れられて、決戦の地へと赴いたのであった。


「えらく殺風景だな」
トーボーズがぼやいた通り、そこは一面コンクリートに覆われたダダッ広い空間だった。


「参加者、いままでは障害物だらけだったから気が楽だろう」
キュラドロスAが言う。

「参加者、はやいトコこの中から最強を決めるんだ」
キュラドロスBが言った時、重い扉が開き3体のパチモンが現れた。


「いや、さすがにここまできたら結果だけでも気になるじゃん?」
「ママンが見学して来いって」
「ドイラーの負けっぷりを見に」

ラコにサイハタリ、ヒムラーの敗退チームだ。
もちろんウオーは来ていない。

「敗退組、お前らは呼んでいない」
「A、好都合だ」
「B、そうか」

キュラドロスがぶつぶつ言っている間にトーボーズは前に踏み出した。

「俺はラコとの戦いで自分の真の力を知った、誰が相手でも勝つ自身あるぜ?」

それに反応したのはダイゴラスだった。
「フラグタテ ガ ジョーズ デスネ?」
「フラグ?そりゃなんだ?」

するとコンクリの壁を突き破って戦車が入ってきた。

「さあ!第1回オールスター舞踏会グランプリ「パチワン」も、いよいよ大詰めですッ!!
 実況はワタクシ、邪魔田 怒毛男がお送りしますッ!!
 準決勝第一戦目は亡霊怪獣トーボーズ 対 大怪獣ダイゴラス! お互い悔いの残りませんよーにッ!!」


「いきなりかよ・・・」

「センテヒッショウ!!」
先に攻撃したのはry

「えっ」
”おもちゃ”の爆発に巻き込まれてトーボーズは吹っ飛んだ。

「コノマエ、チケイリヨウ ガ トクイ ッテ イッテマシタヨネ?
 コレカラ ドウスルノカ タノシミデス!」
ダイゴラスが腕を突き出し、拳に電気を溜めた。

「ああ、あれは、ハッタリだ・・・」
トーボーズはそう言いつつも、透明化で雷電ボールを回避。

「バッタリ ッテイウ パチモン、イマシタヨネ?」

「そういや、ああいうヤツらどうしたんだろうな」

2体は会話の合い間に攻撃を挿んでいたが、トーボーズのガスがダイゴラスを鈍らせる。

「食らえ必殺3連ドロップ!」

全部外れた。まあダイゴラスも亡霊化(ry

「ちっ、1ゲージ無駄にしちまった」

「カンデンシー!」
ボクハ トーボーズ ノ トサカ ヲ ツカンデ 100kAノ デンキ ヲ ナガス。

「ひでぇアバババババババババ」
ssだらけのトーボーズが突っ伏した。

「ショウブ アッタネ」

「いいマッサージだったぜダイゴちゃんっ!」
トーボーズは自ら亡霊ガスを浴びてダメージを抑えていた。

「ナンナノ・・・」

「亡霊には亡霊の攻撃がよく当たるってお約束を見せてやんよ!」
トーボーズが再びのしかかる。

「ソレッテナンカオカシクナイデスカ?」
ダイゴラスは3回潰されてぺしゃんこになった。

まあ周りからはなんか気体がぶつかってるようにしか見えないのでよくわかんない。

「よっしゃあああああ勝ったあああああ」
とりあえずトーボーズの声は聞こえる。


「次は拙者たちの番だ」


「準決勝第二戦目は吸血怪獣キュラドロス 対 光熱怪獣ドイラー! 
 どっちもベストを尽くしてちょーだいッ!!」


「ドイラー、おいらが勝ったら血ィ吸わせてね」
キュラドロスの触覚がうねり始める。

「・・・かまわん」
ドイラーの角も振動し始めていた。


その後は音と光が入り混じってカオスな事になったため、一同は目と耳を塞いでいた。

で、

「ドイラー、おいらの触覚知らない?」

「拙者の光の刀に実体は無い。よっておぬしには斬ることは出来ない、だが逆は可能だ」

「ドイラーさんまじチートっす!!」

再び光の刃が現れると同時にキュラドロスの首は吹っ飛んでいた。


「なんちて脱出できるんだよ~ん」
吹っ飛んだ首が不気味に笑う。
別に怖くはないが。

「すまんがもう一度斬らせてもらおう」
飛んでいた頭も両断された。

「またつまらぬものを(ry」


「それが言いたかっただけでs(ry」

「そんなことより決勝戦しようぜ!!」



「さあ盛り上がって参りましたッ!
 いよいよ、ついに、満を持して、ようやく、待ちに待った「パチワン」決勝戦ですッ!!
 亡霊怪獣トーボーズ 対 光熱怪獣ドイラー! 
 最終戦に相応しいカードですッ!!心行くまで砕け散るまでぶつかりあってくださいッ!!!!」

「俺が本物の怪獣になったら牛丼おごってあげるからさ、ねっお願い!」
いきなり逃げ腰のトーボーズ。

「八百長とか・・・」
ラコが上を向いたまま固まった。

「ギュウドン?パチモン怪獣か?」
ドイラーの背びれが光り始める。

「じゃああれ、なんだ、お、おにぎり?」

「おにぎり?ミチカのだけで充分だ」

「あ、みて!UFO!」

「あれはキュラドロスの首だ」


「チッ、やるしかねえか・・・!」

「斬!!」

「チッ、やられるしかねえか・・・」

トーボーズは静かに目を閉じた。



「どういうこと・・・」

「お子チャマにはわからんだろ」
ヒムラーがサイハタリに言った。

「いや、俺にもようわからん」
ラコがぼーっとしたまま言った。

「まあオレも分かってないけど」


「カッタ ノハ ドイラー デス・・・・・・」

ダイゴラスも早すぎて読み込めなかったが今結果が分かった。



「・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・あ、トーボーズ選手、見事に玉砕しました!!
 よってッ!!
 優勝は光熱怪獣 ドイラー選手ですッ!!
 こんぐらっちゅえーしょーん!!!!!!!!!!!!!!!」


「マジか・・・」
ヒムラーがいつものように口をあんぐり。

「またつm(ry」

「だk(ry」



「優勝者、には「本物の怪獣」になる権利が与えられます」

それを言ったのは係員のキュラドロスAだった。


「よって、優勝者は主催側と会う権利を得ました」
今度はキュラドロスB。


「主催者・・・側、と会う権利?」
ドイラーが疑問を投げかける。

それはまもなく解決された。


コンクリ固めの分厚い壁が、真っ二つに裂かれ、観音開きした。

そこには無駄に広いブルーシートで幕が張られていた。

一同の視線をひきつけた後で、バックライトが点灯し、奇妙なシルエットが見えた。


「あれが主催者・・・"Ms.H"・・・?」

直後、幕の前に紫の濃霧が発生し、すぐに消えた。

そこには、髑髏頭の怪獣と、ブリキのロボットの姿があった。


「な、なんだ?」
トーボーズが問うと、それらは答える。


「我々は"Ms.H"率いるパチワン四天王である。
 ・・・安心したまえ、優勝者よ。貴様の前に立ちはだかるわけではない。
 問題なく本物の怪獣になれるぞ」

髑髏頭の怪獣(ここでは便宜上がいこつバルタンと呼ぶ事にするぞ!)が言った。


「そうか・・・」
ドイラーがうなずく。


「あのー、ちょっといいですかねー」
切り出したのはラコであった。

「どうした?」

「俺たち、なんか痩せこけてないか?」
干物みたいになったラコが言う。

なるほどみんな干物みたいだ。
サイハタリなんか特にひどい。
一方ドイラーはまだ健康的なままだった。

「一体何が起こっている?」
ドイラーが言った時、幕の向こうのシルエットが動き出した。


「ここまで勝ち上がってきた勇ましい戦士ドイラー、あなたには”本物”の資格があります。
 本物の怪獣となりなさい」

女っぽい声だ。



「・・・・・・このアタシと共に!!」


「何?」
ドイラーは、幕の向こうのそいつに疑問を投げかけた。

「アナタはアタシと一緒になることで本物の怪獣となる事が出来るのよ。
 そう、一緒にね」

「どういうことだ?彼らには何が起こっている?」


「アタシが欲しいのは勝ち上がってきたアナタ。
 あのコたちはもう用済みよ。アナタにとっても用済みだから、
 ・・・四天王の餌にするだけよ」

奇妙なシルエットはそう答えた。


「餌だと?じゃあ拙者達は皆・・・・・・」
ドイラーには主催者の思惑が読め始めていた。


「そう!アナタはアタシのモノ。
 あのコたちは四天王のモノ。
 本物の怪獣となる為に!!」

”Ms.H”の言葉を聞いて、反応したのはトーボーズだった。


「ヘッ分かったぜ。なんでこの大会に参加してるのがたった8匹なのか・・・。
 パチモンなんて、腐るほどいるはずなのによぉ!?」


「そう!パチモンなんて腐るほどいる!!
 だからこそ、ちょっとずつ、ちょっとずつ頂くわけよ。
 パチワンが第一回目?そんなのウソウソ。
 もうかれこれ三十六回は開いてるわね。アタシが本物の怪獣になる為に」


「なん・・・だと・・・」
そういったのは実況のオッサンであった。

「三十六回目の実況ご苦労様。もう帰っていいわよ」


「おおっとッ!いったいワタクシはどうなってしまっていたのでしょうかッ!!
 ひどく頭が痛いですッ!!」
再び記憶を混乱させられたオッサンは去っていく。


「全部おぬしらの思い通りだったというのだな・・・」

「そう!短期間のパチモンによる大会!
 その勝者には栄光と永遠の夢が!
 このゴジ世、そんなものがあったら、パチモンなら迷わず食いつくじゃない?
 勝者とはアタシ。待つのは永遠の夢。
 
 ・・・今日がアタシの怪獣デビューよ!!」


幕の向こうのシルエットが奇妙な光を放ち、ドイラーを引き寄せていく。

「なんだ、これは!」


一方、四天王と呼ばれた、がいこつバルタンともう一体のロボット・宇宙怪人ロボースも行動を開始した。

「こいつらは貰った」

がいこつバルタンが両手のハサミでトーボーズとラコを捕縛した。

「なにコレ!マジ勘弁しt」

そしてドクロ顔したガスが舞い、3体の姿は消えていた。


「残リハ、私ガ排除スル」
四天王の一体、ロボースが全身から怪光を発する。

直後、ダイゴラスとキュラドロスC、そしてなぜかサイハタリも、まるで磁石のように吸われていった。
「いったい何が始まるの・・・」

「・・・1体取リ逃ガシタカ、マアイイ」
ロボースは3匹のパチモンを体にくっつけたまま、高速で飛んでいき、彼方へと消えた。


「オレはスルーかよ」
取り残されたヨボヨボのヒムラーが呟く。



「おぬしと一体になり本物の怪獣になるだと?・・・断るッ!!」

引っ張られたドイラーは光の刃を生み出し、幕の向こうへと突き刺す。

幕に液体の影が飛び散った。

それは確かに刺さった。



「イヤなんだ。フーン。

 ・・・後悔するわよ?」

主催者の声はそうとだけ言った。
そして幕は切り落とされる。



「!?」

そこに居たのは、汚物の塊のような怪物であった。



「公害怪獣、ヘドロ・・・。」
ドイラーが呟く。

「ヘドロォ?
 ”Ms.H”ってのは、”墨・Hedoro”って意味だったのか!!」
ヒムラーが納得したように言う。


「・・・なぜ、こやつらが・・・」

「てめー、知ってるのか?」

その時、ヘドロは角を刺されているにも関わらず、口から汚物を吐き出した。

そこからはまた新たなヘドロが生まれた。

生まれたヘドロもどんどん汚物を吐いていく。



そしてドイラーの頭に声が響いた。

「彼らをアナタの住む町に送ったわ。
 正確には「返した」というべきかしら?
 ・・・ヘドロちゃん達、故郷に帰れて、とっても喜んでたわよ?」



ドイラーは光のごとく、このコンクリ部屋を脱した。


  1. 2011/06/01(水) 01:33:02|
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パチモン怪獣大熱戦:第4話「おいらドイラー火群の決闘」

山のふもとへと続く、長細い道を、こげ茶色の自転車が駆け抜けた。

「はっ、はっ」

自転車を駆るのはセーラー服の少女。前籠にはたくさんのおむすび。

彼女は汗を光らせながら、坂道を上がっていった。



「おつかれさん、ドイラー。明日も頼む、な」

石切り場の作業員が、上を見上げて言う。
そこにいるのは紫色の怪獣だ。

ドイラーと呼ばれた怪獣は、軽く頭を下げると、
海に沈んでいく夕日に背を向けて、山のふもとへひとっとび。


ドイラーが洞穴の前に着地してしばらく、少女の自転車が怪獣の目前に現れた。

「ごめんドイラー!お腹減ってるでしょ?」

少女が自転車を降りてすぐ、おむすびを持って、上に掲げる。
ドイラーはおむすびを、角で器用に突き上げ、空中で飲み込んで見せた。

「今日はこれだけなんだけど・・・我慢してくれる?」
籠いっぱいのおむすびを見せて彼女は言った。
確かにこれでは、怪獣の体の比率と比べるとまったく少ない。


「・・・おいしい」

「どうしたの?ドイラー」
頭上の怪獣がうなったので少女は問う。

二人の意思の疎通は、出来ていないと言っても過言ではなかった。

人間には怪獣の言葉は分からないし、怪獣に人語は解せない。
その上、地上にいるだけでも頭の高さがまったく違うわけだから、聞こえるかどうかも曖昧だ。

だから彼女はいつも声を大にして話かけていたし、
ドイラーも、自分の食料は光合成でまかなえることを伝えることは出来なかった。


それでも二人は毎日、こうして朝まで過ごすのだ。

少女・道香にはもちろん家があるし、昼間は学校に通わなければならない。
その忙しい上で、山のふもとの怪獣の元に毎日通うのだから、かなりの重労働だと言える。

一方のドイラーも、洞穴に家を構え、昼間は人間の元で力仕事に励み、
それ以外の時には大人しくここで待っていなければ、この町では暮らしていけなかった。


それでも二人はここに居た。

お互いがお互いにとって奇妙な存在であり、生活の一部であり、心のよりどころなのだ。

理由も分からないまま、二人は共に時間を過ごすことが多かった。これはちょうど3年前位に始まった事だ。


ドイラーが洞穴に入り、屈むと、道香はそれに寄り添った。

「・・・ドイラーって、疲れることあるの?・・・あたしは、すんごい疲れた」
怪獣の尻尾に背中をつけ、ドイラーの背中に触れた。

「・・・・・・」
聞こえてもやはり言葉が分からなければ会話は成り立たない。
ドイラーは返事の代わりに静かに唸る。

「今日はもう暗いし、遊べそうにないよね・・・おやすみ、ドイラー・・・」
がっかりそうに道香が言った。

彼女の言う遊びとは、人間の子供がする簡単なものから、二人の独自の遊びとか、様々なものがあった。

それをどう伝えるか、というか、ドイラーと人間の間の意思疎通は、ジェスチャーを用いるのがほとんどだった。
そのおかげでドイラーも人間との仕事が成り立っているわけで、彼女との遊びやジェスチャー会話が無ければ、
今のドイラーの暮らしは無かっただろう。
話は通じないとはいえ、自分を指差して名前を叫ばれたのだから、ミチカという名くらい分かる。

ドイラーが角を光らせて、辺りを照らす。
大体、こういうときは遊びについて言っていると見当はつくから、明るくすればいつでも遊べるのだ。

しかし道香がしゃべらなくなり、皮膚に静かな寝息を感じ取ると、
ドイラーは明かりを消して、共に眠りについた。


早朝、強い日差しを受けて、道香が飛び起きる。
こちらを覗きこんでいたドイラーが、角の光を消した。
ドイラーは今日も目覚まし時計の役割を果たした。これも例によってジェスチャーで習得したものだ。

「あ、やばい、かも。・・・ドイラー、今日こそ早めに来るから!」
道香が自転車に飛び乗り、坂道を下っていく。

ドイラーには彼女が急ぐ理由は分かっていないが、とにかく大変なのだなと感じた。
時計の見かたは教わっているから、自分はあと三時間後に石切り場へ行かなければ。




ドイラーが石切り場に着いた頃、そこには人っ子一人いなかった。
こんなことは今までで初めてだ。

奇妙な臭いが流れ込んできた。
かなりの濃度のガスだ。
ドイラーが辺りを見渡すと、町の中心で立ち上る黒煙と激しい爆発が見えた。


その爆発を、道香は学校の窓から見ていた。

ほんの数分前に、海から怪獣が上がってきたというのだ。
その連絡が届いた瞬間に起きた爆発であった。

生徒達が混乱し、皆散り散りに逃げていく。
道香も急いで校舎を後にするが、逃げる方向は皆と違っていた。

早くドイラーに知らせなきゃ。


自転車で、だだっぴろい大通りの道路を駆け抜ける。
この道にももうガス臭が漂っていたが、構っている暇はない。
建物の隙間から、黄色い怪獣の姿が見えた。
あれが、ガスを撒いてる?

そう思った矢先、隙間を作っていた建物が、倒壊する。
怪獣がなにか投げたのだ。爆発で障害物が消え、怪獣の姿が丸見えになった。


そして道香と黄色い怪獣の目が合った。


「ドイラー以外の怪獣って初めて見た・・・・・・ひっ!」

怪獣がなにか巨大なものを持ち上げたのが見えた。

「・・・・・・車!?」


それが道香に向けて投げられた時、
巨大な車は両断され、爆発を起こした。

「なにー!?」

吹き飛んだ道香と自転車を何かが受け止める。

ドイラーだ。


「ドイラー!来てくれたのね!」
道香が言うと、ドイラーは離れるようジェスチャーして返した。

それを見て黄色い怪獣も、道路の真ん中へと出てきて、ドイラーの前に立ちはだかる。



「テメーがドイラーか?」


「拙者がドイラーだ」


そして水陸両用車が大通りを駆け抜ける。


「・・・さあ!遂に予選最終戦となります!「パチワン」グランプリ第四戦!!
 実況はいつものようにワタクシ、邪魔田 怒毛男がお送りしますッ!!
 本日の演目は、光熱怪獣ドイラー 対 毒ガス怪獣ヒムラー!準決勝最後の枠はどちらの手にッ!?」


「うるせージジイ!」
ヒムラーの投げた車が水陸両用者を潰して爆発した。


「この町を壊すのはやめろ・・・」
ドイラーが言い、ヒムラーに角を向ける。

「どうやらオメーのようだな、人間に頼りっきりのパチモン怪獣ってのは!」
ヒムラーも巨大な車を構えた。


「何とでも言え。拙者はこの町の為に・・・命を懸けてお前を斬る!」

「ヤル気満々でこっちも安心だぜ、逃げっぱなしのナヨナヨ野郎じゃなくてな!!」


どっかでトーボーズがくしゃみをしたのとほぼ同時、ヒムラーは巨大な車を空にばら撒く。
ドイラーは瞬時に、角の先に光の刃を生成すると、車を一刀の元に切り捨てた。

しかしそれによって起こる爆発は、ドイラーが思っているよりずっと強力だった。
ヒムラーが体中から、引火性の高いガスを撒いているのだ。

ドイラーが吹っ飛び、背後の宿泊施設に衝突する。


「怪獣ってのは町を壊すものなんだよ、まして本物の怪獣になんなら、破壊のプロでなきゃなぁ!」
ヒムラーはまだ爆弾を撒き続けていた。

対してドイラーは、口から太陽光線を吐くと、ヒムラーの皮膚を焼いた。

「おぬしにとっての本物とはそういうものか、だが怪獣が破壊できなければ・・・」

踏み出したドイラーが接近、光の刃を瞬時にヒムラーの首に当てた。

「それ以上にはなれまい・・・?」


だがヒムラーは表情を変えなかった。

「ミネウチってヤツか・・・・・・クソが。その程度でこのオレが怖気づくとでも思ったのか?
 毎日人間どもの軍隊と戦ってるこっちとしちゃあ、この程度のピンチは慣れっこなんだよッ!」

巨大な車が振り下ろされ、ドイラーが頭から押し倒された。

そして再び大爆発が起こり、ドイラーの体が道路を滑り、背ビレで長い亀裂を入れた。


「サムライってのは容赦なく相手を切り捨てるもんじゃねーのか?えー?怖がってんのはテメーなんだろ!」

横たわるドイラーの周りで、ばら撒かれた車が次々に爆発を起こす。

(こやつ・・・・・・拙者を自分から遠ざけようとしているのか・・・?)

吹っ飛んだドイラーが思った時、ヒムラーは既に次の爆弾を撒いていた。

そして間髪をいれずに次の爆発が始まる。

道香の学校も吹き飛び、辺り一面が炎上していた。


(・・・ミチカは・・・・・・逃げ切ったか・・・・・・?)

そんな心配がよぎったが、今は迷いを捨てなければならない。


「サムライってのはヒトタチでケリをつけるもんなんだろ!?
 さっさとケリつけねーと、全部燃えカスにしちまうぞ!?」

ヒムラーは刺激を求める本能のままに、ドイラーを急かした。


(ならば・・・・・・)

迷いを捨てたドイラーの背鰭に、光の粒が集まっていく。
彼の集中が増すごとにそれは輝きを増し、鰭は連なる光の剣へと変化した。

「今だ!!」

ドイラーが猛進する。
ヒムラーも渾身の一撃を放った。

それは同時ではなかった。

光速を思わせる速さでヒムラーとすれ違ったドイラーは、既に彼の後ろへと回っていた。

ヒムラーが攻撃したとき、手ごたえはなく、彼の体は動かなくなっていた。


「なんだ、テメ・・・・・・」

炎の中で、ヒムラーは力なくしりもちをつく。

「神経切断。これが拙者のミネウチだ」

ドイラーの光の刃が消え、その瞳がヒムラーを見下ろす。
彼の瞳には、怒りの色さえも見えなかった。

「・・・・・・それの・・・どこが・・・ミネウチ・・・だよ・・・」

ヒムラーは意識を失い、すっかりのびた。


「・・・熱いッ!燃え上がっておりますッ!ワタクシの頭がッ!
 水ッ!水ッ!ひぎいいいいいいい・・・あ、ドイラーさんの勝利ですね、分かりました」
オッサンは海へと去っていった。



それからドイラーは夜通し消火活動を手伝い、朝を迎えた。

目覚めた彼の前にいたのは、道香だった。

「お疲れ様・・・・・・ありがとう、ドイラー」

彼女の掲げるおむすびを、ドイラーは一口で平らげる。

「おいしい」

いつもと同じ唸り声だが、道香には、満足しているのが伝わってきた気がした。

ドイラーは、自分にはきっとこの為に口がついているのだろうと思った。


(しかし、この騒ぎが、拙者がパチワンに申請したから起こったなんて、とても言えないな・・・)


  1. 2011/05/29(日) 19:26:13|
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