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パチモン怪獣大熱戦:第7話「ある夏の日のこと」

早朝。
ドイラーが出かけている事を知っていた道香は、自宅で起きてから直接学校への道を行った。
だが、直りかけていた学校は、門が閉まり誰もいないようだった。

道香は、町から人気を感じない事に気がつく。

どこに集まっているのだろう?山?海?
いつも、祭りの会場になっている港の方を覗いてみよう・・・。

坂道を下った道香は広い港へとたどり着く。
船も停泊しておらず、あるのはいつも通りの、淀んで底の見えない海。

波の動きが止まったように静か。
道香は海に近づいてみる。


「・・・海坊主?」

道香の目前に、小島が浮かんできた。

数秒して、道香はそれが異臭を放っている事に気がつく。


「何・・・・・・?」

目の前の小島は、少しずつ浮上していく。

次第にその下に隠された全貌が露出していく。


そいつは姿を現した。

うつろな瞳で、ただ一点を見つめている。

道香を見つめている。


「・・・・・・!」
えも言われぬ恐怖が、道香を襲った。

体が震えて、目をそらす。

町が、汚物に沈んでいるように見えた。

恐怖がそうさせているのか、それが現実なのかは分からない。

道香が向き直ると、そいつの全身像が露になっていた。
巨大な目、巨大な口、とってつけたような手足。

道香はそいつを見た事があった。
道香はそいつを知っていた。


「グッバアアアアアアアア!!」

ヘドロが、口から汚物を吐き出した。
それは宙を舞い、道香の横に落とされた。
跳ね飛んだ泥の水滴が、彼女の顔にかかる。

道香はそいつを思い出した。


「そんな・・・」

彼女は自転車を投げ出して、座り込んだ。

頭上では、ヘドロの目がぎらぎらと光っている。


「ど、うして」


道香は見ていた。

あの時。

地獄を。

この小さな町に、狭小な島国に、閉じ込められた、歩く汚物たちがぶつかりせめぎあう姿を。

みんないなくなった。

父や母、家族、友達、知らない人。


道香は気づいた。

「・・・あたし、は」

そして今。

あたしは、あの家で、一人で暮らしているんだ。

家族の誰もいない家で。

いると思っていたのに。

あたしはあれからどうやって生きてきたの。


ドイラーの、働いたお金を使って・・・。


「あたし、何考えてたんだろ・・・・・・」

無意識の内に?

あたしは全て忘れていたんだ。

あの時が怖かったから、全部忘れて。

ドイラーに頼っていた。

彼のことだけを考えて、他の事を忘れたかっただけなんだ。

あたしは、おかしかった。

あの時からずっと。

そしてあいつは、ヘドロは、ずっと見ていたんだ。

あの時からずっと。


「ドイラー・・・」

あたしはこの期に及んで彼の名前を呟いた。

またそうやって頼るの?
またそうやって逃げるの?

ヘドロはあたしに触れようとしていた。


そして閃光が走り、頭上の汚物は吹き飛んでいた。



「・・・ドイラー・・・」

道香が見るとそこには、すでに息を切らしたドイラーの姿があった。

それを受け、海に複数の頭が浮き上がって、幾つものヘドロが姿を現した。

ドイラーは道香に背を向け、淀んだ海に飛び込む。

そして光の刀で公害怪獣を切り刻んだ。

だが一匹斬るごとに、その数倍の数のヘドロが姿を現していた。


ドイラーは道香を遠ざけたかった。

今は、あの時のように本物の怪獣はいないのだ。

自分一匹で相手に出来る敵ではないと知っていた。

ドイラーは彼女に逃げるように促す。


「・・・ごめんなさい、ドイラー、ごめんなさい」

彼女には唸っているようにしか聞こえないのだ。

ドイラーは懸命にジェスチャーをする。

彼女の反応は同じだった。

ドイラーは、道香が何かおかしいと感じた。


そうしている間にもヘドロは増殖を続け、ドイラーを目掛けて向かってくる。

光の刃は幾度も舞うが、汚物の塊はその数を増す一方だ。

三年前の戦いで、ドイラーはこいつらに熱が有効であることを知っていた。

だが、一人で一匹ずつ相手にしていたらとても間に合わない。

ドイラーは自分が、ヘドロの集団の中に埋まっていくのを感じた。

こうして人々もパチモンも、消えていったのだ。

・・・あの時と同じだ。


「ドイラー・・・!!」

道香は、唯一の頼りが怪物に埋もれていく様を見て、絶望していた。
あの中で、それでも彼が足掻いているのを見る事が出来た。

ドイラーは何のために戦うの?

あたしのため?


「逃げて!!ドイラー!もういいよ!あなたまで死んじゃったら、何も意味ないじゃない!
 あたしなんか置いて逃げてよ!早く逃げて!早く・・・・・・」

道香は泣き叫ぶ。

ヘドロの群れの中、か細い光の筋が出て、消えていった。


「・・・もうやめてよ!ドイラー!!
 ・・・・・・そいつらに勝てるのは、「本物の怪獣」だけなのよ!!・・・・・・」


ドイラーの目がカッと開き、彼の意識はハッキリとしたものに戻った。

自分こそが本物だ!!

背びれから光の剣が飛び出し、ドイラーが空中で高速回転する。

群がっていたヘドロの山が、その上半身がきれいに吹き飛んで、海に溶けていった。


「・・・ドイラー・・・」

道香の見たドイラーの姿は変わり果てていた。

全身の皮膚はヘドロの毒素で爛れたようになり、弱った表面からの出血は止めどなく静かに流れ続けていた。

それでもドイラーは道香に背を向け立っていた。

もうお互いに、何を言っても逃げないだろうと思った。
だからまた二人は共にいるのだ。


満身創痍のドイラーに対し、ヘドロは手加減どころかより大勢で取り囲もうと迫る。

道香はどうにか彼を救えないかと考えた。

だが自分の意識も充分に混乱し衰弱しており、その答えを見つける事は出来なかった。

大群が再びドイラーを飲み込む。



閃光、大爆発が起きて、汚水の雨が降った。


「・・・ヒムラー殿・・・」

ドイラーが呟く。


道香の目前で、あの黄色い爆弾魔怪獣が海に飛び込み、ドイラーと並んだ。

「スケダチに来てやったぜ、ありがたく思いな」

ヒムラーは例によって巨大な車を持っていたが、今度はそれが幾つも連結した奇妙な武器に変わっていた。

道香が驚いているとヒムラーはそれを振り回し、ヘドロに叩きつけ、次々に木っ端微塵にしていく。


「かたじけない」

「どういう意味だか知らんが、
 こういう時は一匹一匹丁寧にお相手にするんじゃなくまとめてブッ飛ばす方がお利口だと思うぜ!」

ヒムラーは闇雲に爆弾をばら撒き、ヘドロを沈めていく。

だがこれでも数が減っているとは言いがたかった。


「くっ・・・」
ドイラーとヒムラーは背中合わせに大群と対峙した。
「これは分かりやすい追い詰められ方だぜ・・・」



「またせたなぁッ!!」

なんかうわずっててイマイチ聞き覚えの無い声。

そして二つの影が水面に映り、水飛沫の後にその姿を現した。

「亡霊怪獣トーボーズ、ただいま参上!」
「お役に立てないと思うけど、来てみたけど」

トーボーズとラコも、二体の隣に並んだ。

「やれやれ随分と込み合ってきたな・・・」
「いや、離れるとあの時のように飲まれるのが早くなってしまう、これでいい」

ドイラーは以前の戦いで、自分と本物の怪獣以外の同胞たちが、全て飲み込まれていったことを思い出していた。
だが今のチームなら、それを超えられる気がしたし、もう同じ事を繰り返す訳にはいかないのだ。




「ハカセ、アレ ガ コンビナート ヲ ダメ ニ シタヤツ?」

「そうだ、富も名声も家族も何もかもが、あの大群に埋もれてしまった」

港の入り口にはダイゴラスと大悟博士の姿があった。

「ジャア、ボク ガ ヤッツケテ クル」
「気をつけろよ、ダイゴラス」

ダイゴラスが全身からスパークを飛ばしながら、海に飛び込む。
隣接していたヘドロが、感電し破裂した。


ダイゴラスに手を振っていた博士が、視界の隅にいる少女に気づいた。
道香も、老人の視線を感じて、振り向いた。

「・・・・・・おじいちゃん・・・」

「・・・道香・・・・・・」


ドラ焼きUFOが、ダイゴラスの後を追ってたどり着いた。

「みんな、おいらにも一枚噛ませて」
キュラドロスが再び胴体を吐き出し、それにドッキングした。

そしてヘドロの大群を次々に噛み砕いて、触覚で細切れにしていく。


激戦は続き、ようやく大群に減りの兆しが見えてきた。


そこへ一台のタクシーが辿り着き、中から二人の男が飛び出す。

「遅かったか・・・?」

「今からでも遅くはない、早く開放するんだ」

海原がウオーのブロマイドを大海原に投げ込む。

水面が急激に盛り上がって、大魚竜ウオーが大口を開けた。

ドイラーたちが気づいた時、ウオーは汚水ごとヘドロの軍団を吸い上げ、噛み砕いていた。
それらを飲み込むと、体の隙間から濾過した水を噴出し、海に還していた。

「公害対策用生体兵器"Waste Hydrant Oxyridable Weapon"略してWHOW。
 我々人間も、同じ事を繰り返さないよう努力はするんだよ」

海原が、次第に浄化されていく海を見て言った。


それからヘドロは見る見る減っていき、
遂に、最後の一匹をドイラーが斬る。

「・・・やったか・・・?」


「あーしんどかった」
トーボーズが言う。

「あんたなんもしてないだろ」
ラコが言い、その後で近づいてくる影に気づいた。


「遅かったなァ、サイハタリ」
ヒムラーがサイハタリの肩を思い切り叩く。

「ぼく、足おそいもん、しょうがないでしょ」
サイハタリは言い訳するが、その後はヒムラーの持つ車に釘付けになっていた。


一方ドイラーとダイゴラスは腰を下ろした後で、道香と博士の様子を見守っていた。

「・・・戻ってきていたのか、道香・・・」

「どうして、おじいちゃんがパチモンと一緒に・・・」

「生きていたのなら、わしの所に来れば良かったものを」

「あたし、コンビナートも駄目になったって聞いてたから、てっきりおじいちゃんも・・・」

「そうか・・・だがもう会えたから安心だろう。・・・道香、一緒に帰ろう」

博士、いや道香の祖父が手を差し伸べる。

「帰る?いきなりそんな、急に言われたって、帰れないよ」
道香は手を隠す。

「どうしてだ?今まで苦労して生活してきたんだろう?」

「・・・・・・全部、ドイラーのおかげだったのよ。
 あたし、どうかしてたし、ずっとドイラーに頼って・・・だから今度は、ドイラーに恩返ししなきゃ・・・」

道香は、自分だけの傷ついた英雄を見上げた。
ドイラーには、道香が自分を見た理由は解らない。

「マサカ、ハカセ ニ モウヒトリ マゴ ガ イルトハ」
ダイゴラスが呟く。

「孫?」
ドイラーには今になって道香を解った気がした。


「・・・そうか。わしも強引に連れて行く気は無い。だが、面倒は見させてくれよ」

博士が言うと、道香は頭を下げた。
ドイラーもつられて下げる。


「ドイラー、ボク ガ ニンゲン ノ コトバ、オシエテアゲヨウ」
様子を見て、ダイゴラスが言う。

「本当か?」

「ミッチリ オシエルカラ、カクゴ シトイテ」
ダイゴラスが言って、博士に目配せした。
博士もハイタッチのふりをして返す。


「・・・何か、上手くいったようですね」
ウオーのブロマイドを木の棒で回収しながら、海原が言った。

「かつて怪獣といえば災厄の象徴であった。ましてその複製品とあれば」
元首相が面白そうにそこまで言って、止めた。

「いや、パチモノだからこそ我々の味方なのか?」


ふとドイラーは思い出していた。

ある夏の日のこと。

公害の深刻化と環境保全組織の失敗で爆発的に増えた、公害怪獣。
それが小国を飲み込み、それに閉じ込められ、せめぎあっていた頃。
最初に現れたのはこの町で、最後にも国の末端であるこの町に集合していた。

本物の怪獣と、それを慕うパチモン怪獣軍団はそれを打倒すべく、この町を決戦の地に決めた。
熾烈を極めた戦いの中で、人間も、パチモンも、ヘドロも皆、等しく流れ去っていった。
皆、等しく公害の被害者だった。
ヘドロ達は、道に迷ったかのようにせわしなく歩き回り、ぶつかり、人間とパチモンを葬っていく。
消えていく同僚を見た後で、ドイラーも大群に埋もれて行った。
そうして、ヘドロだけが残った頃、本物の怪獣が遂に本気を出し、大群を殲滅した。
ドイラーはその光景をうっすらとだけ覚えていた。
本物の怪獣が、生きている自分に気づかず帰ってしまったことも。

そして今のドイラーがあるのだ。
取り残された、という点ではドイラーと道香は似た境遇だった。
だが道香のほうは、もう迎えに来る事は決してないと分かりきっていた。
三日三晩泣いていた道香を、ドイラーは見守っていた。
そして目覚めた彼女は、妙に彼になつくのであった。


今日もあの日のように日差しが強い。
だがここにあるのは悲しみではなく、妙な達成感だ。

ドイラーが晴天を見上げる。

・・・戦いは、終わっ




「なんか日差し強すぎね?」
「言うな、ラコ」

思わずラコが突っ込みを入れるほど、日差しが強くなっていた。

空が輝いている。

神々しい光を放っている。


それはまさしく光臨であった。


「取り込み中のトコ、ごめんなさいね?」


雲の切れ間から、巨大な足が見え出す。

それは人間に似た五本指。

非常に長い足を露出し終わった後、現れたのは体ではなくいきなり顔だった。

足に顔がついている。

いや顔に足がついている。

しかもでかい。

全高がでかい。

大体1000m級といった所か。

しかもセクシーなポーズをキメている。

見た目を除けば、その様はまさに女神光臨。



「パチワン四天王最後の一人、水素獣エッチちゃんよん♪」




「あれが本当の、主催者H・・・」
トーボーズが呟く。

「あ、ヘドロじゃなかったんだ」
ラコが言う。

「キモチワルイ・・・」
ダイゴラスが言(ry

「びえええええんこわいよおおおお」

「ママン!迎えに来てくれたんだね!」

「おぬしが、黒幕か・・・!?」

「クソが・・・」



水素獣エッチは、つま先から奇妙な光を発しながら、水面に浮いていた。

「あなたたちの戦い、上から見させて貰っていたわ。
 全員なかなか、ガッツがあるじゃない?
 だからみーんなまとめて、アタシがイタダいて、ア・ゲ・ル」

水素獣はウインクした。


「くぇえwくぇくぇ」
「」
「キモチワルイ・・・」
「びえええええん」
「ママーン!」
「くっ・・・」
「クソが・・・」


「あら?みんなノリ気じゃないみたいね・・・・・・
 しょーがないわねー・・・!!」


水素獣エッチの長い脚が伸びる。

その狙った先は、道香だった。

足の小指が開いて、彼女に迫る。

そうして彼女の逃げる間もなく、指の間に道香を捕らえてしまった。

「何!やだ!これ!」
「今、取ってやる!!」
大悟博士が向かい、続いて海原らも協力する。

だが、他の指も一斉に開き、彼らも足に捕らえられた。

「くそ、なんて力だ、まるでペンチだ」


「この人間たちを死なせたくなければ、アタシの「天国」に来る事ネ♪・・・・・・」

人質を指に挟んだまま、水素獣は上昇していく。


「逃がすかァ!」

7体のパチモンは駆け寄り、そのままエッチの右足に飛びついた。


「ああん、いきなり全員で登ってくるなんて、ゴーインね!!
 ・・・でも、それでよくってよ」


そして水素獣とそれに立ち向かう者たちは、雲の中に消えていった。

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  1. 2011/06/05(日) 22:19:18|
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